映画『ジョゼと虎と魚たち』レビュー、感想

2回目の記事は、2020年12月25日に公開された『ジョゼと虎と魚たち』について書こう

と思う。映画に筆者は感動し、2回も映画館に鑑賞しにいったほどであった。

この映画は小節を原作としており、その比較も検討する。

 

評価 10/10  

 

あらすじ

大学で海洋生物学を学んでいる恒夫は、メキシコでの幻の魚の群れを見るという夢を追いかけ、アルバイトに明け暮れる苦学生である。

ある日、バイトの帰りに坂から落ちてきた車いすの少女、久美子を助ける。久美子の付き添うをしていて彼女のおばあちゃんがお礼をしたいということで久美子の家に行き、夕飯をごちそうになる。そこで、おばあちゃんにあるバイトを持ちかけられた。そのバイトというのは、車いすの久美子の注文を聞くというものであった。

久美子は自身のことを彼女の好きな小説に出てくる「ジョゼ」と恒夫に呼ばせた。彼女はわがままであり恒夫を振り回されていたが、恒夫は彼女にひるむことなく向き合っていき、そんな二人は距離を詰めていくというものである。

 

 まず、この物語は純愛物語であり、ハッピーエンドで終わるので非常に見たあと清々しい気分になれると思います。以下感想と解説です。ネタバレを含みます。

 

久美子とおばあちゃん

久美子(ジョゼ)は障害者であり、小さい頃から車いすで生活であった。そのため、彼女は小説を読むことや絵をかくことが多く、ほとんどを自宅で過ごしていた。彼女のおばあちゃんは、障害を抱える久美子に「外は恐ろしい猛獣ばかり」と伝えていおり、久美子をめったに外に出すことはなかった。恒夫と出会った日はたまたま久美子を夜の散歩に出していただけで、坂から落ちたのは描写はされていないが「虎」(障害者に対する奇異の目やいたずら)のせいなのである。小説ではその点も絵が描かれている。

 

恒夫のバイト

久美子の注文を聞くというアルバイトをジョゼのおばあちゃんから持ち掛けられた恒夫だったが、ジョゼのわがままさに辟易する。やめようと思ったところで、ジョゼに一つのお願いをされる。それは「海を見たい」というものだった。海に夢を追い求める恒夫は、彼女を海に連れていく。海という共通項をもっていた二人は、海岸を訪れることで距離を縮めた。この物語の中盤の重要なポイントである。ジョゼを外に連れ出すことをおばあちゃんに禁止されていた恒夫をだったが、ジョゼがもっと外の世界を見たいと言い出したため彼女をいろいろな場所に連れ出した。ジョゼは夢を追いかける恒夫をとすごすうちに、自身も画家になるという夢をもつようになり、明るくなった。

あるシーンで動物園を訪れ、二人で「虎」(この物語においては障害者に対する偏見や差別の象徴)を前にする。ジョゼは恒夫に「おまえとなら見れるかもしれないと思った」伝え、恒夫がジョゼの支えともなってた。

 

おばあちゃんの死

ジョゼの生活を支えていたおばあちゃんは急死していしまい、ジョゼは一人で暮らしてかなければならなくなった。恒夫にバイト代を払うことができなくなったため「もうこなくてよい」という。また彼女は、生活を支える人がいなくなり現実的に画家の夢を追いかけるのあきらめた。そんなジョゼを恒夫は心配していた。

 

最後の仕事

ジョゼは最後に二人の距離を縮めることのきっかけとなった海岸に連れて行ってほしいとお願いする。ジョゼは夢をあきらめることとこれが恒夫にとって最後の仕事であると伝えた。すると夢を追いかけ、留学の予定も決まり、夢がかないそうになっていた恒夫から励まされるが、ジョゼは突っぱね、障害を抱えるがゆえのつらさを吐露した。

 

恒夫の事故と紙芝居

一人で帰ろうとしたジョゼだが、横断歩道を渡る途中で事故にあいそうになる。そこを恒夫が助けたため、恒夫は大けがを負ってしまった。けがのため留学の予定はなくなり夢はかなわくなってしまい、恒夫は投げやりになってしまった。そんな恒夫を見て、ジョゼは今度は自分が恒夫を支える番だと感じて得意な絵をつかった紙芝居を作って恒夫を励まし恒夫に前を向かせた。これはこの映画のなかでも屈指の感動するシーンです。

 

恒夫の退院

リハビリも終わり、退院の日の前日にジョゼが訪れ恒夫に感謝の言葉を残す。恒夫は明日来てほしいと伝えるが、ジョゼは来なかった。ジョゼは恒夫に頼らず生きていくこと決意したのであり、その日一人で動物園を訪れ、「虎」と向きあったのだ。しかし、ジョゼはまた坂から落ちてします。そんな危ないジョゼを恒夫はまた救うのであった。そこで恒夫はジョゼに告白し二人は結ばれるのである。

 

感想

夢を追いかける二人が同じ海という点で距離を縮めるのが非常によかった。ジョゼにとっては本物の海を見たいという願い、恒夫にとってはまさにかなえたい夢がそこにあるといった共通点が見えやすくよかったと思う。またいつの間にか恒夫がジョゼの支えとなっており、恒夫もジョゼと過ごすうちにひかれあうのもの恋愛ものとしてすばらしいと感じた。また物語前半は障害を抱えるジョゼを恒夫が支え、後半では夢を追いかけること諦めた恒夫をジョゼが支えるという二人が二人を支えるといった点もよいと感じた。障害者は常に支えられるだけではないということが伝わった。ジョゼは一人で生きようとするが、恒夫が支えになりたい好きだという思いをジョゼに伝え、二人がこれからも支え合って生きていくのだとハッピーエンドで感動した。映画は「虎」部分が、小説と比べると少ない。車いすを蹴られる場面など「虎」を象徴するところはあるが、小説では、性暴力の対象となっていること、坂からいたずらで落とされること(映画ではカットされているが、最初の坂を落ちる原因はいたずらだった可能性が高い)で描かれている。しかししっかりと動物園のシーンで「虎」を見せることでメッセージはつたわった。非常に満足できる映画であると思うのでぜひ見ていただきたい。ブルーレイが間もなく発売でネットフリックスなどで配信される日も近いであろう。