映画『竜とそばかすの姫』レビュー、感想

7月16日に公開された細田守最新作である『竜とそばかすの姫』を公開当日に鑑賞して

きた。公開当日であったためか、緊急事態宣言が出ていている状況ではあったが満員御

礼であった。まだレビューを書きなれていないということから拙い部分や、ネタバレと

ももとれる点も見受けれれることもあると思うが容赦願いたい。

 

 映画の評価 6/10

 

あらすじ

物語は仮想空間『U』を舞台となる。『U』はユーザー数を50億を数え、仮想空間では現実世界の自分を模したアバター『As』を自由に操ることができる。

 

主人公である冴えない女子高生・すずは、幼い頃に母を別の子どもを助けるため増水する川に飛び込んだために亡くしていて、それ以来、歌が歌えなくなってしまった。ある日、『U』の世界に出会い、名前のすずから『Belle』という名で登録した。『U』の世界では、現実世界では歌えなかった歌が歌えたのであった。彼女の歌は噂が噂を呼び歌姫となり、『U』では知らないものはいないほどの有名人となった。

 

有名人となったすず・『Belle』であったが、ある日ライブをしていると乱入者が現れ、その名前は『竜』と呼ばれており、背中にはあざを抱えていた。彼は『U』の平和を乱し、忌み嫌われるものとなっていた。中には、正義を掲げ『unveil』(アバター『As』の姿を外し、現実世界の正体を明かすこと)しようとするものをいた。すずは『竜』の真相をさぐり彼の問題を解決しようし、少しずつであるがその心に寄り添っていくのである。そして『竜』の問題を解決し、すず自身の問題をも解決するのである。

 

感想

仮想空間ということで、本作と同じ監督の作品であるサマーウォーズがよく挙げられるようであるが、筆者はまだ見ていない。そのため、私がこの作品を見て近いと思ったのがソードアートオンライン(SAO)である。特に、アニメ2期前半のガンゲイルオンラインが思い浮かんだ。この作品では、主人公は現実世界で銀行強盗を銃殺したために銃に対して拒否反応を示すが、仮想世界のガンゲイルオンラインでは普通に銃を扱うことができるのだ。主人公はその仮想世界で問題を解決し、銀行強盗を殺してしまった過去を受け入れ、前を向くというのがあらすじである。本作も、主人公のすずが『U』を通じて『竜』と出会い、自分の問題と彼を解決していくという点で類似しているように思った。

 

すずと『竜』

本作ではすずと『竜』との共通点すくなく、なぜすずが深い思い入れをもって『竜』とかかわろうとしたのかについてあやふやのように感じた。SAOでは、主人公の問題を解決するのにあたってのキーパーソンとなる人物も、人を殺してしまった経験がある。二人が共感することは容易に想像できるであろう。しかし、『竜』は背中に傷を負っていて『U』の平和を乱すということだけで、すずと共通点はない。すずは『U』では人気の歌姫であり、心を寄せることは好奇心以外に考えられない。きっかけが好奇心であってもよいが、すずが深入りする点は見当たらなかった。

 

死んだ母への理解

『竜』は傷を負っており、その正体は虐待される弟を守る兄でありアバター『As』に見られる傷は虐待の時に受けたものであった。『竜』の正体を知ったすずは、彼を救おうとコンタクトを試みる。自分が歌姫『Belle』であることを伝え、助けたいという思いを彼に伝える。しかし、彼はすずを信用しなかった。すずは『U』の世界で『unveil』することで『Belle』が自分であることを伝えるのだ。そこですずが母が他人の子を助けてときの思いを知って、彼女の問題を解決しただろうというシーンが写し出されるのであり、そこがあまり理解できなかった。(私の理解が乏しいだけかもしれないが)まず川に飛び込んで子供を助けるのは命がけの行為であるのに対し、『U』の世界で『unveil』することは確かに勇気のいることであるが世界に自分の正体を明かすことに留まる。それをしたことで本当に母の思いを知れるのか、知ったとしても何を知ったのかがわからなかった。SAOでは、主人公は、キーパーソンが人を殺してしてはしまったがそのことによって救われた命があることが伝えることで銀行強盗を殺した過去の解決へとつながる。本当に『unveil』することで解決につながっていたのか?

 

 現実世界での反映

本作では仮想世界に入る前の歌への拒絶ということが、仮想世界での解決を通じて現実でも反映されるシーンがない。SAOに銃に対する拒否感が問題の解決を通じて、現実世界でも耐えれるようになっているという描写があるのとは大きな違いである。本作では最初の歌への現実世界での拒絶感が、最後には一切触れられていないのである。

 

父との関係

最後に母が死んでからの冷めた父親との関係回復も問題解決に含まれていて、『unveil』とのかかわりがわからなかった。おそらく『竜』を助けに行こうとするすずに対して父は『君はお母さんに似て優しい子になった。竜を助けてあげなさい』とのメッセージを送り解決するのだが、それで長い間のいさかいは解決するものか?と疑問に思った。

 

 

以上のような理由により内容はあまり納得的ではなく、6/10という評価となっている。しかしながら、映像と歌は圧巻であり映画館で見ることは非常に価値ある作品となっており、さすがは細田守といったものだと感じた。

 

初めてのブログで拙く、論理的で説得的なものになっているかはわからないがこのあたりで締めようと思う。次は私の好きな作品である『ジョゼと虎と魚たち』についてあげようと思う。